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世界の弱気市場を振り返る:歴史に学ぶ投資家の教訓

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2025/4/17MEXC
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トランプ政権が再び関税措置を発表したことにより、金融市場のセンチメントは急速に悪化しました。欧州の株式市場も連動して下落し、ドイツのDAX指数は3%超の下落、原油価格は1日で6.6%急落、ドルインデックスは2005年以来最大となる日中下落率を記録しました。VIX(恐怖指数)は40%上昇して30を突破し、ヘッジファンドの純レバレッジ比率は3年ぶりの低水準に落ち込みました。さらに、暗号資産市場もこの世界的な下落の波に巻き込まれました。4月7日にはBTCが一時$75,000を割り込み、最高値の$108,000から約30%下落。ETHも一時15%以上の急落となり、1,420ドルを下回って2023年10月以来の安値をつけました。

過去約50年間、米国株式市場では複数回にわたって弱気市場が発生し、そのたびに経済や投資家心理に深刻な影響を与えてきました。本記事では、過去半世紀にわたる米国株式市場の弱気相場を振り返り、そこから得られる投資家にとっての重要な教訓を読み解いていきます。

1. 歴史的弱気市場のデータと比較:現実と教訓


1973–1974:オイルショックによる弱気市場


1973年に第四次中東戦争が勃発し、アラブ諸国は石油の禁輸措置を実施しました。これにより原油価格が急騰し、世界経済は大きな打撃を受けました。米国経済も深刻な景気後退に陥り、S&P500指数は1973年1月の121.74から1974年12月には57.77まで下落。約52.5%の下落率を記録し、この弱気相場は21ヶ月間続きました。これは過去50年間で最長クラスの下落局面です。

原油価格の高騰はインフレ圧力を高め、企業コストと利益率に深刻な影響を与えました。加えて、ベトナム戦争による財政負担が経済成長をさらに鈍化させました。

1987:ブラックマンデー


1987年10月19日、ダウ平均株価は1日で$508下落(22.6%減)し、史上最大の単日下落率を記録。S&P500も同日に20.5%下落しました。ただし、この下落局面は4ヶ月と比較的短期間で収束しています。

原因としては、グローバル化、金融自由化、そしてコンピューターによる自動売買の台頭によるボラティリティの増加が挙げられます。翌年、米証券取引委員会(SEC)は「サーキットブレーカー(取引中断制度)」を導入し、市場の極端な変動を抑制する制度設計が進められました。

2000:ドットコム・バブル崩壊


1990年代末、テクノロジー株やインターネット関連銘柄への投機的な動きが広がりました。ナスダック総合指数は2000年3月の5,132.52から2002年10月には1,114.11まで下落し、約78.3%の大幅な下落を記録。この弱気市場は31ヶ月間続き、過去最大級の下落幅となりました。

このバブル崩壊は、過度な期待や実体価値からの乖離がもたらすリスクの大きさを浮き彫りにしました。

2007–2009:世界金融危機による弱気市場


サブプライムローン問題を発端とする世界的な信用危機が発生し、米国経済は深刻な景気後退へと突入。S&P500は2007年10月の1,565.15から2009年3月には666.79まで下落、57.4%の下落幅となりました。17ヶ月間続いたこの弱気市場は、世界規模での金融崩壊を伴う深刻な事態でした。

この危機は、過剰なレバレッジと不十分な規制体制のもとで拡大していった金融システムの脆弱性を露呈しました。

2020:新型コロナウイルスによる急落


2020年初頭、パンデミックにより、各国でロックダウンが相次いで実施され、企業業績が急激に悪化しました。S&P500は2月の3,386.15から3月には2,237.40まで下落し、33.9%の下落率に。弱気市場としては3ヶ月と非常に短命でしたが、各国の金融緩和・財政出動により急速に回復へと向かいました。

パンデミックは実体経済に打撃を与えただけでなく、市場のパニックも引き起こしました。しかし、各国の中央銀行と政府の協調した対応により、市場は早期に安定を取り戻し、新たな上昇局面へと移行しました。

2. 弱気市場の期間と下落率比較


歴史的な弱気市場の全体像をより明確に把握するために、それぞれの弱気市場の継続期間と、S&P500指数の下落率を比較しました。


弱気市場の期間
継続期間

S&P500の下落率
1973-1974
21ヵ月
-48%
1987
4ヵ月
-34%
2000-2002
31ヵ月
-49%
2007-2009
17ヵ月
-57%
2020
3ヵ月
-34%

3. 弱気市場から得られる教訓:投資家が取るべき姿勢とは


3.1 実体経済の動向を注視する


実体経済の動向は、株式市場の土台となる存在です。経済成長が鈍化したり景気後退に陥ったりすると、株式市場だけが独立して好調を維持することは困難です。投資家は、経済指標や政策動向に注視し、市場全体の方向性を見極める必要があります。弱気市場の局面では、群集心理に流されて過度な投機に走らないよう、警戒を怠らないことが重要です。

3.2 割高な状態が続く市場を冷静に見極める


市場の過熱感や割高な状態が続く市場は、しばしば弱気市場の引き金となります。市場が過度な楽観や投機的な動きを見せているとき、投資家は冷静さを保ち、十分な分析を行わずに価格上昇に飛び乗ることを避けるべきです。バブルの兆候を見逃さず、損切りラインの設定や投資戦略の見直しといった行動を適切にとることが大切です。

3.3 政策介入と市場の自律的回復力に注目する


政策による市場介入は、投資家心理の安定や危機の深刻化防止に役立ちます。しかし、こうした施策はあくまで一時的な対処であり、根本的な問題解決にはなりません。そのため、政策動向を注視する一方で、市場自身にどれだけの回復力あるかも見極める視点が求められます。市場に十分な自己修復力があってこそ、本当の意味で弱気市場から脱却できます。

3.4 感情をコントロールし、冷静に投資する


弱気市場では投資家の感情が大きく揺れ動き、衝動的な投資判断につながりやすくなります。感情に左右されず、落ち着いた心構えと合理的な判断力を維持することが、損失を最小限に抑える鍵となります。

過去50年間の米国株式市場における弱気市場は、私たちに多くの経験と教訓をもたらしてきました。投資家は、実体経済の動向を注意深く観察し、割高な状態が続く市場を冷静に評価し、政策対応と市場の自己修復力にも注目しながら、感情に流されず理性的な投資判断を行うことが求められます。同時に、暗号資産市場と株式市場の相関性も高まっており、世界経済の動向や規制環境、市場センチメントが暗号資産市場にどう影響するかを総合的に把握することが重要です。今後の投資活動において、私たちは歴史から学び、より冷静な判断で前進していく必要があります。

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