ETH 2.0とは

ETH 2.0は、ETHの開発における4つのステージ（Frontier、Homestead、Metropolis、Serenity）のうち、最後のステージを指します。最初の3つのステージはETH 1.0ですが、第4ステージではETH 1.0がETH 2.0にアップグレードされ、コンセンサスメカニズムがPoW （Proof of Work）からPoS（Proof of Stake）にアップグレードされる予定です。

なぜETH 2.0へのアップグレードが必要なのか

1. スケーラビリティの向上

ETH 1.0では1秒間に15件程のトランザクションしか処理することができません。ETH 2.0では64セグメント (将来的にはさらに増える可能性があります) が用意され、理論上1秒間に数千～数万件のトランザクションを処理できるようになります。これによりメインネットワークに処理能力が集中しすぎるという問題を解決し、スケーラビリティをさらに向上させることができます。

2. 環境持続可能性

現在、ETHは、主流のPoWコンセンサスメカニズムを使用して、サイバーセキュリティの運営および維持を行っています。PoWモデルは、セキュリティの確保や分散化の度合いにおいて一定の利点があるものの、サイバーセキュリティを維持するためのノードは依然として高価です。世界中のノードがコンピューティングパワーを消費している中、最終的に正しいハッシュ値を見つけ、会計上の権利および報酬を得られるのは1ノードのみです。このモデルは非効率的であるだけでなく、環境資源の浪費にも繋がっています。PoSコンセンサスメカニズムにアップグレードされると、ETHはネットワークを維持および運用するために大量のコンピューティングパワーや電力を消費する必要がなくなり、トークンをステーキングしてチェーン上のブロックや取引を作成する方法に移行します。

ETH 2.0開発のロードマップ

ETH2.0は1.0と同様、いくつかのフェーズに分かれています。最も重要なのは最初の3つのフェーズ (フェーズ0、1、2) です。

フェーズ0：ビーコンチェーン

ビーコンチェーンは、フェーズ0でEthereum 2.0に導入される、全く新しいブロックチェーンで、ネットワークを運営・維持するためにステークシステムに参加するバリデーターを管理する役割を担っています。すなわち、Ethereum 2.0エコシステムのコマンド＆コントロールセンターです。

このフェーズにおいて、ETH 2.0ネットワークはスマートコントラクトや資産送金などの機能をサポートせず、検証手続きの運用のみをサポートしているため、ユーザー様はこのフェーズにおいて取引所に資産を送金することができません。

フェーズ1：シャード

フェーズ1の主な目標は、シャードチェーンを統合することです。このフェーズでは、ETH1.0およびETH2.0が統合されます。シャードチェーンはイーサリアムネットワークの拡張メカニズムです。イーサーリアムブロックチェーンは64の異なるチェーンに分割され、データ処理タスクは多くのノードに割り当てられ、並行して処理されます。各シャードチェーンは、イーサリアムネットワークにおける幹線道路の迂回レーンのようなもので、これにより、ネットワークの処理能力が大幅に向上し、より高いスループットがもたらされます。シャードロードマップを表示します。

フェーズ2：エクセキューション

現在、フェーズ2の定義や機能についてはまだ検討中ですが、現時点で判明していることは以下の通りです。シャードチェーンの機能はフェーズ2で全面的に改善され、各シャードはeWASM (ETH WASM) をベースにした仮想マシン (EVM) を管理する。スマートコントラクトに対応し、送金、出金、シャード間送金などの機能をサポート。またこのフェーズでは、Ethereum 1.0は2.0との統合を完了し、PoW (Proof of Work) の利用を完全に終了する。

画像参照元：https://eth2.ethereum.cn/

eWASM（ETH WASM）は、イーサリアム仮想マシン（EVM）が引き起こすボトルネック問題に対するETH2.0のソリューションです。EVMはETHネットワークの内部状態とそのすべての計算を担当しています。これは、タスクの実行速度やネットワーク全体の可用性に大きな影響を与えます。eWASMはW3Cコミュニティグループによって設計されたオープンスタンダードで、グーグル、マイクロソフト、アップルといった企業の一流エンジニアによって開発されました。C/C++などの従来のプログラミング言語と64ビットデータ処理をサポートしており、ネットワーク処理速度とスループットを向上させるだけでなく、セキュリティと可用性を高めることができます。

Ethereum 2.0のバリデーターになるには？

ユーザー様はまず、入金コントラクト（https://etherscan.io/address/0x00000000219ab540356cBB839Cbe05303d7705Fa#tokentxns）に32ETHをステーキングし、ETH1.0とETH2.0クライアントを同時に稼働させることでバリデータになることができます。バリデータになった後、ノードを長時間オンラインで稼働させる必要があります。ブロックのバリデーションが成功するたびにETHの報酬が得られ、ステーキング利息の年間利回りは約5～10%になります。ただし、オフラインによりバリデーションが失敗した場合、ビーコンチェーンを通じてETHネットワークから割り当てられたタスクに罰金が課せられ、悪意のあるバリデーションに対しては32 ETHが没収されます。

デポジット・コントラクトへのETH2.0ステーキングは不可逆的な取引となります。Ethereum 2.0がフェーズ1に達し、シャーディングやスマートコントラクトを稼働できるようになるまで、2～3年の待機期間が必要になる可能性があります。つまり、バリデーターは少なくとも2年間は出金できないリスクを負わなければなりません。また、一度ビーコンチェーンにETHをステークすると、BETHが生成され、Ethereum 1.0のチェーンには戻せなくなります。これは、Ethereum 2.0のアップグレードが失敗した場合、損失を被る可能性があることも意味します。したがって、一般ユーザーがバリデーターになることはお勧めしません。